第 1 ス テ ー ジ



 
 依頼主であるプリオも後を篠田に託して自分の部屋へと戻り、いよいよ0時----。
 スタートの時刻になった。
 リビングにある時計がスタートの合図をする様に、時を刻みはじめた。
 リビングの時計だけではない。
 他の部屋の時計も、別の棟にある大きな時計塔の鐘も、一斉に時を刻み始める。
 沢山の時計は当たり前の仕事のように12回、鐘の音を響かせ、そして----
 鳴り止むことなくさらに鐘を鳴らしつづけたのだ!!
 篠田は何が起こったのか分からず、一瞬あっけに取られた。
 沢山の時計達は、さらに何回か鐘を鳴らしつづけた後、一斉にぴたりと鳴り止んだ。
 しばらくの余韻を残した後、リビングは夜の静寂に包まれた。
 篠田は一瞬、自分が数え間違えていて、鐘は12回だけ鳴ったのかとも考えた。
 しかし、外の時計塔の鐘だけは、屋敷の中の鐘より早く鳴り止んでいた。
 きっと、時計塔の鐘の音は、この辺り一帯に響き渡っていて、近所の人も聞いているから、正確な回数しか鐘を鳴らせないのだ。
 と、言う事は、屋敷の中の時計は全部が実際の時刻よりも多く鐘を鳴らした事になる。これがこの屋敷の中の隠し部屋を探す手がかりになるに違いない。
 篠田は屋敷の中の鐘が、何回鳴ったのか、思い出そうとした。
 18回・・・?だったような気がするが、何せ驚きが先に立っていたので、ハッキリと断言する自信がない。
 でも、もう2度と、深夜0時の鐘の音を再現することは不可能だし、その事ばかり気にしていたら、考えがまとまらない。
 ここは、18回だったと思い込むことにした。
 この奇妙な回数を刻む時計の鐘の音に、どんな意味があるのだろう?
 篠田はこの時計屋敷の宝や隠し部屋や、それを指し示す出来事に、あっという間に引きつけられていた。
 とにかく、この後の1時の鐘を待ってみよう。
 そしたら何か分かるかも知れない。
 ----1時----
 外の時計塔の鐘が1回だけ鳴った。
 しかし、屋敷の中の時計はどれひとつとして、音を立てなかった。
 一体なのがどうなっているのだろう・・・
 それから2時・3時と屋敷の中の時計の鐘は、何の反応もないまま時は過ぎた。
 そして、4時----
 屋敷の時計が外の時計等の時計と共に、一斉に鐘を鳴らし始めた。
 篠田は息を呑んでその回数を数えた・・・
 鐘の音は4回で止まってしまった。
 どう言う事だろう。
 篠田はさらに分けがわからなくなった。
 やはり最初の鐘は数え間違ったのだろうか?
 しかし、それだと1時から3時まで、鐘が鳴らなかった事が説明できない。
 とにかく、篠田は、何も考えず、ただ鐘の音がなった時間と、その回数だけを正確に記録して、その関連を後でまとめて考えることにした。
 
 ----2日目。午前1時----
 時計が何の音もたてない中、第1ステージが静かに終了した。
 時計の鐘が鳴った時刻と回数はこうだ。
 
 
第1ステージ 午前 0時スタート
     午前 0時・18回(?)
     午前 4時・ 4回
     午前 7時・19回
     午前10時・ 9回
     午後 2時・14回
     午後 7時・13回
     午後 8時・10回
 そして、翌日 午前 1時 第1ステージ終了

 
 篠田がメモした紙を眺めながら考えていると、メイドが紅茶を持ってリビングに入ってきた。
 「第1ステージ終了です。ここで、篠田様がお紅茶を飲まれる間に、私がひとつだけ、質問にお答えします」
 篠田は何について質問すべきか迷った。
 聞きたいことは沢山ある。
 この屋敷の隠し部屋について、時計について、ぷりこの隠した宝について。

 篠田は考えて、質問をひとつだけ口にした。

          ☆隠し部屋について☆
         ☆屋敷の時計について☆
         ☆ぷりこの宝について☆