「一番前のイスだ!!」
僕は一番前のイスに座った。
本当は、どのイスが有利なのか
全然自信は無かったけど、
なんとなく ”前の人だけがが見える”
っていうのが 引っ掛けで、
落とし穴なんじゃないかって気がしたんだ。
おばさんの合図で、残りの二人がイスに座った。
僕のすぐ後ろには マスクのおじさんが、
一番後ろには、サングラスのおばさんが座った様だ。
そう言えば、この二人は、
さっきから一言も喋ってないな・・・
と、ふと思ったけど、
そんなことは 今はどうでも良い。
これからがいよいよ勝負だ。
何としても、この勝負に勝って、
みずほちゃんと帽子を 取り戻すんだ!!
そんなことを考えてると、
さっきから 一人で喋っているマフラーのおばさんが
僕の頭に帽子をかぶせた。
どうやら、後ろの二人は
すでに帽子をかぶっているらしかった。
ホントにズルはしてないんだろうか。
僕に見えないと思って、後ろの二人は
こっそり 帽子を脱いでるんじゃないか?
そんな思いもあったけど、
ここは 相手を信用する以外に無いんだと
僕はすぐに思い直した。
「さぁ、ゲーム開始!!
分かった者から 名乗り出るんだよ
坊やも せいぜい 頑張って」
マフラーのおばさんが、
憎たらしく スタートの合図をする。
さぁ、貴博!考えるんだ!!
僕は 自分に言い聞かせて、
恐怖を振り払って、考えを集中させた。

・・・どのくらいの時間が経ったんだろう・・・
重苦しい空気は 流れつづけている。
誰も 何も 言わない
僕も 一生懸命考えているけど
やっぱり 誰のリボンも見えないんじゃ
何にも分からない。
でも、このまま黙っていたら、
誰かが先に、答えてしまうかも知れない。
僕は 必死で考えた。
そして・・・

赤だ!!
白だ!!


と、僕は大声で言った。