じっとしていられず、気が付いた時には、洞窟を出て、別荘へと歩き出していた。
 とにかく、今度は私の仲間の内、誰が殺されたのか、それが一番気になった。それに、残されたみんなは今、どんな思いでいるんだろう。
 みんな、私を犯人だと信じて、一致団結して固まっているんだろうか?それとも、私の無実を信じて、心配してくれている人が、一人でもいるだろうか?
 とにかく、みんなの中に、犯人が、仲間の顔をして混じっているのだ。疑いが私に向いている今、真犯人にとって、みんなを誘導して都合の良い状態を作る事は、簡単なはずだ。
 私は、国道を通る人や車に細心の注意を払いながら、別荘へと近づき、海岸沿いの階段から、別荘の庭へと入っていった。
 別荘は、夜中だというのに、どの部屋も明かりが明々と灯っていた。もしかすると、警察の指示なのかもしれない。おかげで、二人目の被害者が誰だったのかは簡単に想像できた。きっと一部屋だけ真っ暗な部屋の主・・・健が殺されたんだろう。
 私は、辺りに注意をしながら、庭の木をよじ登り、二階のベランダへと落リ立った。そして、べランダを伝って健の部屋の窓の前まで行った。この別荘は、ベランダで、全ての部屋がつながっているのだ。
 部屋のカーテンの隙間から、懐中電灯の明かりを射し込むと、うっすらと、床に何かの跡が見て取れる。でも、暗くてはっきりとは分からない。
 私は懐中電灯の明かりが効率良く部屋を照らすように試行錯誤を繰り返して、ようやくその跡を見ることが出来た。
 私は、床に今も生々しく残ったものを見つけて、愕然とした。
 床には、血の文字で、また数字が書いてあったのだ。 

14789/14728369


 とにかく、ここに長居するのは危険だ。
 私は、今日のところはあの洞窟に引き返すことにした。
 洞窟に戻っても、私の頭の中は、混乱していた。
 どう言うことだろう。あれは藤田君のダイイングメッセージだったはずだ。それが、何故、健が殺された現場にも残されているんだろう。
 考えられる答えは、ひとつだけ。
 あの数字は、被害者のダイイングメッセージなんかじゃなくて、犯人が残した何らかのメッセージだったと言う事だ。
 でも、なんで、犯人は、あんなものを現場に残したりするんだろう。手がかりを残せば、それだけ危険も増えるというのに・・・
 そんな事を考えているうちに、私はいつのまにか、眠りに落ちていた・・・ 

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