篠田は自分の部屋に戻ると、ベッドに寝転び考えをめぐらせた。
体はすっかり疲れていて、眠気は有るのだが、頭が興奮していて眠れそうもない。
何かが引っかかっていて、もう少しでそれがすっかり解消されそうな、そんな何とも言えない妙な興奮だ。
篠田はまず、暗号解読の一番の手がかりになりそうな、各ステージの時間について考えた。
スタートの『午前0時』にまず最初の鐘が鳴って、一時間後の『午前1時』には2回目の鐘が鳴る。(あくまでも”鐘が鳴る機会がある”という意味で、鳴ったかどうかは別問題である)
そして、終了である『翌午前1時』までは・・・
篠田はふとベッドから起き上がり、指折り数えてみた。
1日は24時間だと言う固定概念から、各ステージ翌午前1時までは25回ずつ鐘が鳴る機会が有ったものだと思い込んでいたが、その機会は各ステージ26回だ!!
念の為メモ紙に書いてみたが、間違い無い。
ぷりこが『スタートは午前0時だ』と何度も念を押したのには、こんな意味があったのか!!
そうすると、終了が中途半端な『翌午前1時』だった事も納得がいく。
後はこれが、実際に時計が時間を刻んだ鐘の回数とどう関係してくるかだが・・・
篠田は書くステージでの鐘の時間と回数を書いたメモを3枚並べて眺めて見た。
第1ステージ 午前 0時・18回(?)
午前 4時・ 4回
午前 7時・19回
午前10時・ 9回
午後 2時・14回
午後 7時・13回
午後 8時・10回
第2ステージ 午前 0時・ 2回
午前 1時・15回
午前 8時・16回
午前10時・ 7回
午後 1時・ 5回
午後 5時・17回
第3ステージ 午前 0時・ 8回
午前 4時・20回
午前 8時・12回
午後 1時・ 3回
午後 2時・ 6回
午後 6時・11回
翌午前 0時・ 1回
屋敷の時計が鐘を鳴らしたのは、第1ステージで7回、第2ステージで6回、第3ステージで7回の、計20回だ。
全部で78回機会が有ったうちの20回・・・いや、そんな考え方ではないはずだ。やはり各ステージは切り離して考えるべきだろう。
それに、それぞれ、時計の鐘が、刻むべき回数とは違う回数鐘を鳴らした事も、もっとも意味が有るはずだ。
篠田はフル回転で考えを巡らせながら、3枚のメモを食い入るように見つめた。
そして----
そうか!!!そう言う事か!!!
篠田は思わず自分の発見に大声を上げそうになった。
自分の考えが正しいのか確かめるために、さっき時間を書き取った紙と、鐘の回数を書いた3枚のメモを見ながら、新しい紙にペンを走らせるが、あまりの興奮にその手がおぼつかない。
しばらく机に向かい、沢山の紙切れと向き合った後・・・篠田はニヤリと笑った。
間違い無い。
ぷりこの暗号は全て解けた。
そして、ぷりこの宝のありかも・・・
今日はもう遅い。結果の報告は明日の朝で充分だ。
それまでは、この難解な暗号を解けた事の喜びに浸るとしよう。
篠田はベッドに横になり、この上ない満足感に包まれて、ようやく眠りについた----
次のページへ
|