その後は、何が起こったのか理解できないまま、気が付くと私は、多くの警官に囲まれ、さらに、三人の警官に後ろ手に押さえ込まれて、ベランダでうつ伏せに倒れていた。
部屋の中から、博人、萌、栄子の三人が、私を見下ろしている。私は力一杯抵抗しながら、大声で叫びつづけた。
「犯人は私じゃないわ!!!」
そして、私は、自分がどんなに甘かったかを思い知らされる事となった。
私がどんなに無実を訴えて、泣こうが騒ごうが、誰一人耳を貸す人はいなかったのだ。
私はそのまま、博人や萌や栄子の見ている前で、警官たちの手によって、別荘から連れ出された。
私は連行されるパトカーの中で、ぼんやりと考えていた。
初めに少し考えれば分かった事だった。
思えば、私のしたことは、初めっから選択ミスばかりだった・・・
藤田君の部屋から逃げた事。
中と半端な覚悟で、犯人を探そうとした事。。
そして、誰かが自分を信用してくれるなんて思っていた事。
これだけの失敗をしておきながら、私は警察で、ちゃんと自分の無実を主張し続けることが出きるのだろうか・・・
私は、そんな事をぼんやり考えながら、パトカーの窓越しに、海を、眺めていた。
数日前にはあんなに楽しい気持ちで眺めていた海を・・・
それと、もうひとつ、気になる事がある。
----本当は、誰が藤田君を殺したんだろう----
きっと、今ごろ、真犯人の誰かさんは、別荘の自分の部屋の中で、ひっそりとほくそえんでいる事だろう。
<THE END>
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