依頼主であるプリオも必死でメモ紙にペンを走らせている。 そのメモ紙を覗きこんで、篠田も安心した。 もう大丈夫だ。プリオにもどうやらこの難解な暗号の解き方が解かったらしい。 **プリオのメモ紙** 第1ステージ A 18回 E 4回 H 19回 K 9回 O 14回 T 13回 U 10回 第2ステージ A 2回 B 15回 I 16回 K 7回 N 5回 R 17回 第3ステージ A 8回 E 20回 I 12回 N 3回 O 6回 S 11回 Y 1回 そして、それを回数の少ない順に並べかえると・・・ YANENOKAKUSITOBIRAHE やねのかくしとびらへ 屋根の隠し扉へ 「屋根の隠し扉だ!!」 暗号が解けたプリオが叫ぶと、ぷりこは嬉しそうににこにこ笑ってポケットから鍵を取り出した。 「そうね。暗号を解いたのは篠田さんだったんだけど・・・まぁ、良いでしょう。あなたに私の全財産を譲りましょう」 そう言うと、ぷりこはプリオにその鍵を手渡した。 「私の寝室のベランダから梯子伝いに屋根に出ると、そこに扉があるから、行って御覧なさい」 「屋根に・・・知らなかった。そんなところにまで隠し部屋があったのか」 プリオは嬉しそうに鍵を握りしめた。 「篠田さん。どうです、一緒に行って見ませんか?」 プリオの申し出を篠田は丁重に辞退した。 篠田はこの難解な暗号を解いた事にすっかり満足していた。 ---数日後--- 篠田はぷりこの宝について新聞で知ることになる。 屋根の隠し部屋からは、ぷりこの預金・持ち株・その他、色々に混じって、多数の絵画や骨董品などが発見された。 先代の当主、ぷりこの夫の趣味で集められたもので、ぷりこもその価値に引かれてと言うよりは、夫との想い出として保管していたらしいが、中には値が付けられない程の物まであったと言う事だ。 何とも大変な依頼だったが今回はとても楽しめた。 篠田は満足そうにタバコをふかすと、ソファーにどっしりと腰を下ろした。 今日もこの探偵事務所の階段を駆け上がって来る依頼者の足音が聞こえる。 さぁ、今日の依頼は?---- 次のページへ