僕が、家に帰ると、
ママは晩ご飯を作っていて、
パパはテレビの野球を見ていた。
僕は 今日の出来事を、パパとママに
必死で話して聞かせた。
ママは、怖そうな顔をして、
「危ないから、もう二度と、小屋には入っちゃ駄目よ」
と、言い、パパは楽しそうに
「貴博は勇気があったんだなぁ。えらいぞ」
と、誉めてくれた。
ご飯を食べて、お風呂に入って、テレビを見て、
寝る時間になっても、
僕の興奮は ちっともおさまらなかった。
でも、お布団の中に入ると、
不思議なほど体が疲れていて、
僕は 吸い寄せられる様に 
眠りに落ちていった・・・・・

次の日の朝・・・
僕がまだ、朝ご飯を食べている時、
みずほちゃんが 慌てた様子でやって来た
「貴博くん!これ見て!!」
みずほちゃんの手には 何と、
昨日なくなったはずの 赤いリボンの帽子が握られていた。
「どうしたの、その帽子」
僕は 思わずお箸を投げ出して、
みずほちゃんに 駆け寄った。
「朝起きたら、枕元に置いてあったの」
確かにこれは、みずほちゃんの帽子だ。
でもなんで、枕元に・・・
僕が考え込んでいると、みずほちゃんは
「この手紙も、一緒に置いてあったの」
と、一枚の紙を見せた。
もしかして、また暗号?
一瞬僕は そう思って、その紙を受け取った。
その手紙には、こう書いてあった。

『道具小屋や、掃除小屋は、
危ない道具がいっぱいあります
中で遊ばない様、約束して下さい。
約束のしるしに、帽子はお返しします』

どう言う意味だろう。
さっぱり訳が わかんない
これも 何かの暗号なのかな?
僕らが 訳も分からずにキョトンとしていると、
僕らの後ろで、パパとママがクスクス笑っている。
???もしかして・・・

「あ〜〜〜!!!」
僕らは思わず 顔を見合わせた。
犯人は 僕らのパパとママだったんだ!!
何度言っても 僕らが小屋に入るもんだから、
こんなことして 脅かしたんだ。
どうりで、小屋の中で勝負をした時、
みんな喋らなかったはずだ。
あれは、きっと、サングラスのおばさんが
僕のママで、声で正体がバレると思ったからなんだ。
もう一人のおじさんが
みずほちゃんのパパで、
一人で喋ってたマフラーのおばさんが、
みずほちゃんのママで、
みずほちゃんと一緒にいたおじさんが
きっと 僕のパパだったんだ。
僕らが いくら聞いても、
パパとママは、「知らないよ」と笑ってばっかり。
でも、間違い無い。そうだったんだ。
僕は、みずほちゃんと顔を見合わせて、
思わず笑ってしまった。
なんだ そうだったんだ。

でも、パパ。ママ。
これで僕らが懲りたと思ったら
大間違いだよ。
こんなスリリングな冒険なら
いつだって 大歓迎さ!!
ね!みずほちゃん!!

<END>

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