「とりあえず、公園の入り口に行ってみない?」
みずほちゃんは僕の手を取って、走り出した。
「なんで入り口?」
今度は僕が、引っ張られながら、
聞く番みたいだ。
「なんでって、カンなんだけど・・・
今まで、公園の中ばっかり探してて、
外を見てなかったって思ったの」
「だから、とりあえず、入り口に行くんだね」
「そう言うこと!!」
確かに、暗号が全然分かんないんだったら
じっとしてるよりも、動いてた方が
ずっと気が楽だ
僕らは入り口に向かって、競争するように走った。
公園の入り口は、全部で3ヶ所あって、
そこを 全部回ってみたけど
手ががりは、何にもなかった。
暗号を、二人でもう一度 考えてみたけど、
それでも 全然分からない・・・
僕らは 公園の入り口の所にある
地図を見ながら、
見落とした所が無いか、相談した。
暗号が分からないなら、
やっぱり 足を使って探すしかないんだ。

局 僕らは陽が傾くまで、探しまわった。
でも、帽子どころか、
何の手がかりも 見つけられなかった。
みずほちゃんの 大切な帽子。
赤いリボンの かわいい帽子・・・
一体 どこに消えてしまったんだろう。
もう、家に帰らないと、
二人とも ママに怒られてしまう時間だ。
みずほちゃんは、また泣き出しそうに下を向いてしまった。
「ねぇ、明日もう一度探してみようよ。
きっと 僕が見つけてあげるからさ」
「ほんとに?」
みずほちゃんが 心配そうに顔を上げた。
「うん!約束するよ!
今日も家に帰ったら、暗号のこと考えるから」
僕がそう言うと、みずほちゃんは
「ありがとう。私も考える!!」
と言って、やっと にっこりと笑ってくれた。
それで、僕らは とりあえず
今日は、家に帰ることにした。

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