「とにかく、私たちの家がヒントって言うんだから
一度家に帰ってみようよ」
確かに、みずほちゃんの言う通りだ。
考え込んでいたって分かんないんだったら、
じっとしてるより
ちょっとでも 可能性がある方へ
行動を起こすべきだ!!
「そうだよね!とにかく帰ってみよう」
そう言うと 僕らは競争するように
走って走って 家まで帰った。
家の前まで来て、僕らはそれぞれ
何か 手ががりがあったら
すぐに呼び合おうねと 約束して、
自分の家の門を くぐった。
でも、僕の家は、パパもママもお出掛けしていて
家の中には入れなかった。
仕方がないから、僕は、家の庭とか、裏庭とか、
周りに手がかりがないかを 探した。
結局 ヒントは何にも見つけられなかったから
諦めて、みずほちゃんの家に
様子を見に行くことにした。
僕らの家の間にある垣根をくぐって、
僕の家の庭から、直接みずほちゃんの家の庭に出ると、
丁度、みずほちゃんが 庭の花壇を覗いていた。
「なんかあった?」
僕が聞くと、やっと 僕に気づいたみずほちゃんが
振り向いて 首を振る。
「何にもないみたい。
パパもママもお出掛けで、お家に入れないの」
「僕の家も、入れなかった」
「ここじゃないのかなぁ・・・」
みずほちゃんは すっかり気を落としたように
そう言った。
「もう一度、公園に戻ってみよう」
僕は 励ますように
わざと元気に言うと、
みずほちゃんの手を取って、走り出した。
僕らは それから、公園にある
公園全体の 地図を見ながら
見落とした所がないか 相談した。
暗号が分からないなら、
やっぱり 足を使って探すしかないんだ。
結局 僕らは陽が傾くまで、探しまわった。
でも、帽子どころか
何の手がかりも 見つけられなかった。
みずほちゃんの 大切な帽子。
赤いリボンの かわいい帽子・・・
一体 どこに消えてしまったんだろう。
もう、家に帰らないと。
きっと ママたちも帰ってきてるはずだし、
怒られてしまう時間だ。
みずほちゃんは、また泣き出しそうに下を向いてしまった。
「ねぇ、明日もう一度探してみようよ。
きっと 僕が見つけてあげるからさ」
「ほんとに?」
みずほちゃんが 心配そうに顔を上げた。
「うん!約束するよ!
今日も家に帰ったら、暗号のこと考えるから」
僕がそう言うと、みずほちゃんは
「ありがとう。私も考える!!」
と言って、やっと にっこりと笑ってくれた。
それで、僕らは とりあえず
今日は 家に帰ることにした。

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